日別アーカイブ: 2014年6月20日

『きりのなかのはりねずみ』  Book*Book vol.008

絵本
ノルシュテインとコズロフ/作
ヤールブソワ/絵
こじま ひろこ/訳

きりのなかのはりねずみ (世界傑作絵本シリーズ)

きりのなかのはりねずみ (世界傑作絵本シリーズ)

これは1975年、ソビエト連邦時代に作られたアニメーション『霧につつまれたはりねずみ』を
書籍化したものだ。
アニメーションを作成した監督がユーリイ・ノルシュテイン。ロシア語のセリフを書いたのが
セルゲイ・コズロフ。
絵本にするにあたって、作者が2名記載されている。

まずはそのアニメーション作品を見て頂きたい。

主人公であるはりねずみが友達のこぐまとお茶を飲みながら星を数えるという
大事な約束のために出かける所から始まる。

一夜の出来事のお話だから、全体的に絵のトーンが暗い。
そしてはりねずみの後ろを好奇心旺盛についてくる不気味なみみずくや
暗がりで出会う様々な生き物も黒くおぞましい雰囲気を醸し出している。
そんな中でも白く輝く白い馬や楽しそうに舞う蚊、辺りを照らす蛍など
美しく素敵な生き物にも心を奪われたり助けられたり。

はりねずみの心の中の不安や楽しさ、興味がそのまま映し出されていて
読み進めるうちに自分も森の鬱蒼とした雰囲気の中に吸い込まれるような
気持ちになる。

はからずしも大冒険をしてしまったはりねずみが無事に友達のこぐまと
会うことができて、おしゃべりをしながら星を数えることができた。
にも関わらず、はりねずみは白い馬に心を奪われたままでなんだか放心状態で
こぐまの話を聞いている。

どことなく何を考えているか分からない登場人物の雰囲気と絵のタッチが
落ち着いた雰囲気の中にも少し「怖さ」みたいなものを感じさせる。
だからこそ、白い馬の「気高さ」みたいなものがふわりと浮かんでいて
最後の放心状態のはりねずみの気持ちに似た気持ちになる。

アニメーションは切り絵で作成されていて、実写とうまく交えた作品になっている。
その映像美はまた絵本と違った形で表現されていて、10分ほどの映像ながら
じっくりと見てしまう。
絵本とどんな風に違うのか、そういった視点でも是非楽しんでもらえたらと思う。

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