TOKYO BAY

良い写真とは。
という命題には幾つもの正解があるし、それをこんな場所で語れるほど鋭い目を持っていると
自負できるほどでもない。

ただし、自分の「好きな」写真というのは傾向としてやっぱりある。
幾つかポイントがあるのだけれど、その中の一つに

音を感じられる写真

がある。

この1枚、この一瞬を切り取った時、撮影者やカメラにはどんな音が届いていたのだろう。
と気にさせるもののことだ。

風景写真なら木のざわめきや水や波の音。
逆にシンと吸い込まれるような、静まり返った時かもしれない。

人ならどんな明るい声、暗い声なのか。
足音や寝ころんだ時の音とか。

その空気感とも言うべきものが詰まっているように感じられて、更に自分の想像力が掻き立てられる。
自分の中で物語が巻き戻ったり進んだりするような写真。

そんなものに出会うと、あーすごいな。と唸ってしまう。

野寺治孝さんの『TOKYO BAY』を見ていると、そんな想像力をものすごく掻き立てられる。
一面真っ青なこともあれば、真っ赤な時もある。絶妙なグラデーションや人工物の灯り。

この時は何時ごろでどんな気温で、どんな音がしたんだろう。

と一枚一枚、じっくりと感じ入ってしまう。
写真の裏ページにはとてもシンプルな情報が一言掲載されている。

Late Afternoon March
Twilight November
The Blue Hour July

など。自分で想像してからページを捲るのも面白い。
海はどこに行っても海だけれど、どの瞬間とて同じものはないのだ。

今の自分なりに何かできないかなと思って撮ったのが冒頭の5枚。
お店の外、角から真上を見上げて撮ったものではあるけれど、日付も時間もバラバラ。
同じ場所であることが分かり易いように、ほぼ同じ位置から同じアングルで撮っている。

これを見た時に、音が少しでも頭の中で響いたら嬉しいなぁと祈りを込めてシャッターを切った。


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